今回のテーマは『野良猫を保護するべきか』。
こんにちは。40代の主婦をしているOと申します。実は今朝、自宅近くの駐車場の隅で、ぐったりと横たわっている野良猫を見つけました。ここ数日、同じ子だと思うのですが痩せ細っていて、毛もボサボサで、目ヤニもひどく、見るからに衰弱している様子でした。今朝は近づいても逃げる力もないみたいで、小さく鳴くだけだったんです。
さすがにこのままでは命に関わるのでは…と心配になり、すぐに保護して病院に連れて行こうかと考えたのですが、私は猫を飼ったことがなく、勝手に触れていいのか、どんな道具が必要なのかも分かりません。それに、もし病気だった場合、他の猫たちにうつったりすることもあるのかと不安です。
保護するべきか、まずどこに相談すればいいのか、緊急のときはどう対処したらいいのか、教えていただけませんか?
「保護していいのか迷う」というご相談は結構いただきます。特に今回の相談のように衰弱していたり、仕事場に現れてしまったりという場合、どのように対応していいのか迷ってしまうようです。
今回はそんな保護するべき3つの基準に分けて、どういう状況だったら保護するかについて詳しく解説していきます!
猫を捕まえる前に考えてほしいこと

よし、じゃあ早速保護したほうがいい基準を教えてくれ!
いえ、まずは本当に保護するべきかの覚悟を自身に問いかけてください。
もしかしたらずっと保護し続けることになるかも…?怖いことを言っているかもしれませんが、現実にあり得る話なので、その辺りをしっかり把握した上で保護してください。
費用がかかるかもしれません
野良猫を保護する場合、最初に頭に入れておきたいのは金銭的な負担についてです。



どんなものがかかるんでぇ?
- ケージや、捕獲器など捕まえる際にかかる道具
- 譲渡前に必要な病院での健康チェック
- ノミ・ダニの駆除
- 寄生虫駆除
- (ひいてたら)猫風邪の治療
- ケガの治療
- 混合ワクチンの接種
- 避妊・去勢手術
- マイクロチップ装着(付けなくても良い)
保護後すぐに動物病院で健康状態を確認する必要があり、不妊手術や予防接種、感染症の検査などが必要となる場合があります。


これらの基本的な医療費だけでも1万円〜3万円程度かかることが一般的です。
加えてケージや猫トイレ、キャットフード、猫砂といった必要なアイテムを揃えるための初期費用が発生します。猫が健康な生活を送るためには、これらの準備が欠かせません。



保護しよう!って思ってもなかなかハードルが高いんだよね。



借りられたら楽なんだがな。今回の相談者はそういうツテはないだろうな。
何年も保護し続けるかもしれません
次に野良猫を保護するということは、その猫の世話を(もしかしたら)何年も続ける覚悟を持つ必要があります。
その理由は譲渡先っていうのは簡単に見つからないから。保護猫活動をしている身から言わせてもらうと、お世話できる数には限界があり、猫田助でも10〜20匹はいるのは当たり前なのです。
そんな中で預け先は見つからないし、譲渡する先も見つからない…と途方に暮れてしまうこともあるでしょう。


猫の寿命は一般的に15年前後ですが、その間には餌代、医療費、そしてケガや病気への対処が求められます。
最初は「一時的」と思っても、保護した猫がずっと自宅で暮らすことになる可能性が高いです。野良猫保護は短期間の取り組みではないということを念頭に置いてください。



保護するってのは簡単じゃないのよ!しっかり覚えておきなさい!



ぼく的には保護しようって思ってくれるだけですごいな…って思うんだけどな。
時間を消費することになります
野良猫を保護する場合、その世話には多くの時間を費やす必要があります。餌を与えるだけではなく、部屋の清掃や猫の健康状態のチェック、人馴れしていなければ馴れさせるトレーニングなども必要です。
また、保護直後の猫は不安定な状態で、警戒心やストレスが強い場合が多いです。慣れるまでに時間をかけてケアすることを覚悟しなければなりません。


さらに、動物病院への通院や譲渡先を探す活動にも時間が求められます。正直言って大変です。



熱意だけで何年も…は辛いわよ。



でも、癒やされる〜って時間を惜しまない人もいるんだよね。
実は母猫がいるかもしれません
子猫を見つけたとき、衝動的に保護することは避け、よく周りを観察してみてください。なぜなら、その子猫は母猫から一時的に離れているだけかもしれないからです。
母猫は餌を探しに行っている途中だったり、周囲を警戒しながら隠れて見守っている可能性があります。子猫をすぐに連れ帰ってしまうと、母猫が戻ってきたときに子猫を見つけられなくなり、家族を引き離す結果となってしまうかもしれません。


基本的には一匹でウロウロしている場合は母猫とはぐれてしまっているケースが多いですね。周囲をよく観察し、慎重な判断を心がけてください。



一回離れると自分の子どもかどうかが分からなくなっちゃう可能性もあるのよ。
猫にとって幸せではないかもしれません
野良猫が現在の環境で順応し、問題なく生活している場合、無理に保護することが猫にとって幸せな選択とは限りません。
「外でウロウロしていて可哀想で…」と猫を連れてくる方がいますが、その子を保護し続けても、譲渡にならないケースは多いです。
何ヶ月経っても人に馴れない、触れないという場合が多く、「野良のほうが幸せだったんだな」ってリリースすることもありますね。


野良猫として自由に外で生活している猫にとって、突然屋内で生活することを強いられるのは大きなストレスとなる場合があります。
特に、社会化が進んでいない成猫の場合、この変化に適応できず、場合によっては健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。その猫にとって何が最善なのかをじっくり考えたうえで、行動してください。



猫にとって家だけが幸せとは限らないのよね〜。



ケガしてる場合は治ったらリリース、地域で猫が増えてたら避妊去勢手術をしてリリースとかでも良いかもね。
すぐに保護したほうがいいケース



覚悟については分かったぜ。じゃあ、これはすぐ保護したほうがいいって思うケースを教えてほしいぜ。
そうですね。基本的にはこの5つのパターンでしょうか。
衰弱が激しい
野良猫を発見した際、明らかに衰弱している場合は、すぐに保護することが望ましいです。
野良猫は十分な食料や水を得られず、放置すれば命に関わることもあります。子猫の場合は数時間で亡くなってしまうので、保護後は動物病院で健康状態を確認し、適切な治療を施すことが重要です。
先月末に保護した子猫ちゃんです。
公園に捨てられていた子猫
食欲も落ちて、衰弱していました。
公園に捨てられて、衰弱していた子猫ちゃん – Ready for
このような状況で、“野良猫保護”は猫の命を救うための最優先事項となります。



危ない状況だと思ったらすぐ保護だな。



後悔する前に行動して欲しいわ。
地域崩壊を起こしかけている、すでに起きている
地域で野良猫が増えすぎてしまうと糞尿被害や騒音が頻発し、住民のトラブルの原因になります。
最悪の場合は、猫の繁殖の勢いが止められない状況に陥ってしまうことですね。


このような地域崩壊ともいえる状態では、一刻も早く野良猫を保護して適切な手続きを進めることが大切です。



だから避妊・去勢手術は大切だって言われてるんだよね。



可哀想という理由で避妊・去勢しないで、人間たちが困るのは猫としても嫌だね。
子猫が一匹でいる場合
子猫が一匹でいる場合、母猫からはぐれてしまった可能性が高いです。


この状況では子猫が生存する可能性は限りなく低いでしょう。母猫からのお乳を飲むことで、免疫を獲得するのですが、それが期待できないので、保護することで安全な環境を提供してあげることが重要です。



子猫は一人では生きられないのよ。
交通量の多い道路や危険な場所に子猫がいる
子猫が交通量の多い道路や、工場、建設現場などの危険な場所にいる場合は事故に遭うリスクが高いため、速やかに保護してください。


特に車の往来が激しいエリアにいる猫は、轢かれてしまう可能性が非常に高いです。そのような場合、“子猫を保護するべきか”の判断に迷わず、安全な場所へ避難させてあげることが最善の行動です。



もし、轢かれちゃったらその後の対応も大変だろうね…。
妊娠している(お腹が大きい)
もし発見した野良猫が明らかにお腹が大きく、妊娠している様子であれば、できるだけ早く保護を検討しましょう。
野良の環境下では、出産場所を確保できず、交通事故やカラス・犬などの外敵、悪天候のリスクがあります。さらに、出産後の子猫は非常に弱く、母猫も栄養不足で命を落とすケースも少なくありません。


「お腹が大きい」と、他から見て分かるくらい大きいのであればもう出産間近です。出産までの時間も考慮して緊急保護を優先するべき状況となっているので、安心できる環境で母猫と子猫の命を守ってあげましょう。
ただし、警戒心が強くなっていることも多いため、無理に追いかけず、捕獲器などを活用し慎重に対応するのがおすすめです。



お腹が大きい猫を保護することは、その後産まれてくる猫の命を救うことにもなるわよ!
よく観察してから保護したほうがいいケース



おし、よっく分かったぜ。だけどよ、そういった分かりやすい事例ばっかりじゃねぇだろ?そういったケースも教えてほしいぜ。
そうですね。保護するかしないか迷うシーンもたくさんあります。大体迷うのはこの6つですね。
さくらねこではない成猫
さくらねこではない成猫は迷うケースかなと思います。


さくらねこマークがない成猫の場合では、直ちに保護が必要ではないケースが多いです。
逆に耳先がカットされておらず、春・秋に繁殖期特有の鳴き方をしている場合は避妊・去勢手術が済んでいない可能性が高いので、TNRを狙って保護して良いかなと思います。
ただし、元気に過ごしており、地域で支えられている場合はむやみに捕獲すると、地域の人からクレームが来ることも。このあたりが難しいところだなと思います。



あの時期って、つい鳴いちゃうのよねぇ。
母猫と一緒にいる子猫
子猫を発見すると「今すぐに保護しなくては」と思うかもしれませんが、母猫が子猫の近くにいる場合、人間が不用意に手を出すと母猫が警戒して子猫を見捨てることもあります。母猫が育児中の可能性があるなら、しばらく様子を見守りましょう。
ただし、地域崩壊に向かうほど猫が大繁殖している場合、母も子もすべてTNRするのが望ましいです。この辺りの判断が難しいのかなと思います。



子猫=保護ではないからな。
田畑や、花壇を荒らしている
野良猫が田畑や花壇を荒らしている場合も、すぐ保護するのではなく状況を慎重に見極める必要があります。田畑を荒らすことで農作物被害を引き起こすこともありますが、これらの行動は猫の生存本能に基づいたものであり、一概にその猫が悪いとは言えません。
基本的には猫に来てほしくない場所は忌避剤を散布しておいて、近寄らないように対策すると良いでしょう。


それでも侵入されるのが不安な場合は、こういったシートを使って入れないようにしておくと良いでしょう。ちなみにこのトゲは若干の痛さはありますが、傷つけたり、刺さったりすることはないのでご安心ください。





あー、このトゲトゲのやつ、肉球に不快感があるんだよね〜。
ケガをしている
ケガをしている野良猫を見つけた場合には、つい捕まえたくなってしまいますが、まずそのケガの状態を慎重に見極めることが必要です。
軽いケガであれば自然治癒することもあり、放っておいても良い場合が多いです。特に野良猫の場合、縄張り争いで頻繁にケガをしているので、ケガする度に病院に連れていっていると大変な出費になってしまいます。
野良で生きる猫としてはそれが自然な形なので、少々のケガであれば黙って見守る姿勢も大切です。



野良の世界ってたくましいのね〜。
近隣住民から攻撃されている
野良猫が近隣住民から攻撃を受けている場合には、人間と猫の双方を守るため、適切な対応が求められます。このような状況では、一時的な保護を視野に入れるとともに、近隣住民や自治体に相談することが重要です。
結構この手の相談は多く、どう話し合いを付けるべきか…とアドバイスを求められることも。
近隣問題が絡む場合には、感情的にならずに冷静に話し合いの場を設け、猫の安全と地域の調和を両立できる解決策を模索するしかないですが、言わなければいけないことはしっかりと伝える意志を持つことも大切です。
特に動物虐待は法律で禁止されている行為であるため、悪質な場合は警察などの専門機関に相談することを検討してください。



猫より人のほうが怖いわ。
保護しなくていいケース



保護したほうが良いケースってのは分かったぜ。逆にこれは放っておいても良いってケースはあるんかい?
さくらねこである
野良猫を発見した場合、その猫がさくらねこであれば保護する必要はありません。


このような猫は避妊・去勢済みです。
さくらねこは地域猫として地域で見守られているケースが多いため、無理に連れて帰るよりもその場で見守ることが猫にとっても幸せで、自然な選択です。



自然な形で生きるのが幸せって猫もいるんだよね。
健康そうで、特に問題がない場合
野良猫が健康そうで、危険な状況に置かれていない場合も、保護を急ぐ必要はありません。元気に活動している猫は、自分の行動範囲内で生活を維持できている可能性が高いです。
過剰な干渉は猫のストレスの原因になる場合があり、猫の幸せを踏みにじることになるかもしれません。
特に問題がない場合には、見守ることを検討しましょう。



私達の幸せを奪わないでよね!
保護する可能性があるのは子猫や、命の危険が迫っている時



野良猫は可哀想と言う人はいるけど、そうじゃないってことも知ってほしいね。



子猫の場合は保護したほうが良い可能性が高いと思うよ〜。



近隣住民とのトラブルは厄介だから気を付けてね。



猫には猫の幸せがあるんだ。むやみに奪ったりしないでくれよ。
今回の相談では、「見るからに衰弱している」ということで、すぐ対応したほうが良い状態でしょう。
もし、元気になりさえすれば、別にリリースしても問題はないと思いますので、このような状態の時はすぐ保護してあげてください。
捕獲にどんな道具が必要なのか、飼う場合にはどんなことが必要なのかは、猫の年齢・状態によっても変わってきてしまいます。
他にも保護猫の捕獲、保護に関しての情報をまとめているので、ぜひご覧ください。
他にも保護猫の飼い方に関してや、仲良くためのコツなどをまとめているので、ぜひご覧ください。